仕事の帰り道、昔ながらの温泉に入って帰ろう。お風呂セットは無い、まあどうにかなるのだ。
カウンターで、タオルと石鹸下さ〜い。石鹸20円。小さな薄いマッチ箱位だ。
ふぅ〜。やっぱり温泉は、いい湯だなぁ〜、歌いたくなるが、響き過ぎるので辞めておく。
アレ?洗面器の中に入れて置いた石鹸が無い。今の私には、最も大事なのだ。シャンプーもボディソープも何ーんにも無いのだ。何処に行った石鹸。泣きたくなった。渋々タオルで身体を洗う。泡が欲しい。
サウナに入って水風呂へ、外気浴でスッキリした。さあ帰ろうとした時、洗い場の一番隅に、キラキラ光る小さな石鹸が、
アッ!私の石鹸ちゃんだ!生き物になっている。誰かが洗い場に置いてくれたのだ。泡で包まれながら無くなるまで使い切った。こんなにも20円の石鹸が愛おしくなるものなのか?不思議だ。
当たり前に有る身の回りの物が無くなると貴重になる。電気やガス、水も同じだ。太陽の光、自然の恵どれが欠けても生きていけない。
石鹸一つで、生きて行けない話にまでなってしまった。
お風呂セットは車に積んでおこう!