弾丸で、母の故郷に帰る話
夜の空港はライトが綺麗だ。鹿児島空港に着陸するが夜だから何も見えない。景色は明日の楽しみだ。空港は街外れの場所に有る。最終便のリムジンバスは出た後で、タクシーに乗り込んだ。運転手さんと話していて、九州上陸を感じた。「旅行ですかぁー?」母はお墓参りと答えるが、タクシー料金のメーターばかり見ている、窓の外は暗闇だ。カチッ、カチッ、カチッ、、
料金上がるの早い〜!
と婆が言う。
密室だ。やめてくれ。
タクシー料金は、燃料代から諸々全て上がっているから仕方無いが、呟きがダダ漏れだ。
話題を変えなければと、長渕剛さんの出身地ですよねと聞いてみる、色んな話しをしてくれた。桜島コンサート会場が近くに感じるが何も見えない。
が、メーターだけはハッキリ見える。カチッ。
婆よ、メーター凝視は辞めてくれ。
そんな感じで、何とかホテル京セラに着いた。
朝一番で、ホテル内に有る温泉に入る。お湯が身体に優しい。温泉好きの二人は旅の疲れを癒した。
旅は始まったばかりだ。
遠出する時は、亡き妹が母の日に贈った赤いバックを持って出掛ける。握りしめて歩く婆の後ろ姿を見たら、なんだか胸が熱くなった。
姿なけれど、気持ちは三人旅。
さぁ明日が楽しみだ!