何度、シュミレーションしても自信が無かった。東九州自動車道を走るのは緊張する、高速が慣れてないのだ。去年は九州入りを断念した。九州生まれの母は故郷を離れ私を育ててくれた。足が痛いとか、食べ過ぎで胃がムカムカするとか言っている。
ある日、宮崎に行きたいと言い出した。
毎日毎日呟く。諦め無い性格は承知だ。みやざき〜、歌までか、
あっ!九州パーフェクトプランの本を、テーブルのど真ん中に置いている。呟きの次は、本攻撃か!段々メンタルやられて、呪いの呟きに聞こえてくる。
が、
翌朝、テーブルの新聞広告の裏に何か書いてある。
「どうしても一緒に宮崎に行きたいのです。お金はいくらかあります。お願いします。」
と、母の切実な想いが文字から伝わって何だか胸が熱くなった。
あー、歩けなくなる前に、両親と兄弟のお墓参りがしたいのだ。よし、温泉に行こう、イヤ宮崎牛を食べに行こう、
タイミングは今しか無い!連れて帰ろう。
仕事を調整し休暇を取った。
息子は行って来たら!と言うと同時に飛行機チケットを予約してくれた。鹿児島に飛んで宮崎に入る予定が決まった。考えるより有無が易しだ。婆の呟きから解放だ。
たまたまゴールデンウィークに被ってしまったが、明日九州入りする予定だ。婆はウキウキ準備万端。
珍道中になる予感がするが、
婆よ、良い旅にしよう。