2枚の食パン

レモンの枝がもう重いと言っている。レモンを収穫する。不揃いだがビタミンCたっぷりだ。

小さな畑で母は、せっせと野菜作りをしている。ある日の婆の話しを書いてみようと思う。昨日は雨が降っていた。山と畑の間に小さな水路が有る。

ピタピタピタ、、。

茶と白の中型犬がずぶ濡れで水路を歩いて行った。畑から見ていた。翌朝、クゥン〜クゥン〜水路の上の方から泣き声が聞こえた。

アッ!昨日のあの犬だ。ぐるりと周って行って見ると、水が流れている側でブルブル震えている。

婆は、ずぶ濡れ犬に話し始める。助けてやるから、噛むんじゃないよ、噛んだら駄目だからね、犬は震えながジッと聞いている。婆も少し怖いが覚悟する。

短い足の婆は水路に降りれない。側にあった木を置いて何とか水路に降りた。ずぶ濡れ犬と、ご対面だ。視線が同じ高さだ。

犬を抱える、ずっしり重い。濡れているから更に重くなっている。水路横にスペースが無く抱えている犬が落ちそうになるが、婆も必死だ。体半分やっとの思いで、水路から持ち上げ脱出した。婆も濡れている。

話を聞きながら、犬の気持ちが解るような気がする。鶴の恩返しでは無く、犬の恩返しが芽生えそうな光景が目に浮かぶ。

お腹が空いているだろう、此処に居てよ、食べ物持って来るから、居てよ。

走って家から、食パン2枚を持って来た。ジッと婆を見つめている。お食べ。婆は家に帰って着替える。あの犬が気になる、、家で飼ってやろうか、悩んでいた。

30分位して、その場所に行ってみた。パンは無い。ワンコも居ない。家に帰ったのだ。きっと

 

それにしても、婆は水路で動物とよく出会うなぁー。