山から鳥のさえずりが心地よい。ウグイスが鳴いている。家の横に水路が有る。
母の話を少し書こうと思う。かなりの頻度で登場する婆は、何時も1人で呟いて笑っている。少し不気味だ。
仕方ない高齢だ。が!自分の叶えたい事だけは何時迄も覚えている、私に何度も仕掛けてくる。婆の作戦だ。叶えるまで私に言うのだ。まあ、叶えるのが、小さな親孝行だと思うのだが、、。
仕事帰りの私に、婆が言う。
タヌキが居たと。ほぉ〜、見たのか?
見た、タヌキの子供だと言う。
溝にいたと言う。 水路に落ちたのか?高さは約1メートル程ありそうだ。落ちたら登れ無いくらいだ。
家の横の溝は、3メートル程行くと、トンネルの様になっているから、かがんで中を覗かねば、見えないし!暗い。
婆は、トンネルの中に、足が見えたと言う。
足か!?
来いと言うから、私も暗いトンネルを覗く。
婆が、タヌキの親みたいに突然吠える。わぅ〜わぅ〜コンコンツっツっ、、。、
何だそれ?
何の動物だ。婆が山の動物に見えて来た。どうでも良いが。
そんな鳴き声聞いたタヌキは、余計に恐れて出てこないだろう、
アッ!小さな足が見えた!
ピタピタ歩いている音が聞こえた。
いるな!
おいでと、優しく声掛けするが、奥でじっとしているみたいだ。警戒している、
婆と二人で、暫く、暗い水路をのぞいていた。
あー、腰が痛くなった!もうほっておこうと、私が言う。
えーー!
次の日、水路に小さなハシゴがかけている。
婆が、登って山に帰れと願いをかけていた。
確かに、気配は消えている、、、。